希望と理想

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思い出せ、寝る前に何をしていた。 ここは何処で、今何時なんだ。 ~*~ 何一つ変わらない日常、昼過ぎにバイトに行くことになっていた俺は電車でバイト先のレストランへと向かった。 この日もいつもの様に何も食べず、いつもの様に駅へ向かい、いつもの様に電車へ乗ったはずだ。 目的地の近くにはコンビニがあるから、そこで軽く食べれる物を買って行く予定だった。 「きゃああぁ!!!」 日々の疲れで微睡む俺を叩き起こしたのは女性の声、目的の駅まではまだあるが何事だろうかと辺りを見回す。 包丁を持った男だ、その目は焦点が合っていない。 「うるせぇ……近づくんじゃねえよぉ、こええんだよ!」 近づいて欲しく無いのも怖いのもこっちの方だ、何かに怯えている男は電車の中で包丁を振り回している。 その包丁には赤い液体がべっとりと付着しているのが見えてしまった、少なくとも一人は被害が出ている。 男と目が合った気がする、こっちに来る、次はお前の番だと言われている気がした。 「何見てんだよこのやろおぉお!」 「うっ……うわぁあああ!!」 無我夢中だった、腕を切りつけられても、顔を切りつけられても怯まずに男の包丁を奪ってやった。
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