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「実は……、知り合いの捜査員を捕まえて聞いてみましたら、宇田川先生が父親の第十三方面本部長に電話をかけて、早々に人質を帰宅させる様に圧力をかけたとの話が……」
話題になった二人の確執の根深さを知っている隆也は、それを聞いて完全に呆れ返った。
「はぁ? 何だそれは。有り得ないだろう?」
「私も本庁内での先生親子の噂は耳にした事がありましたから、何かの間違いだと思ったのですが。一体どうして、そんな話が出てきたのやら」
(あいつ……、絶対何か、やらかしやがったな?)
西脇が本気で困惑しているらしい気配を察しながら、隆也は盛大に舌打ちしたい気持ちを懸命に堪えた。そして表向き平静を装いつつ、彼に声をかける。
「取り敢えずあいつが大丈夫なのは分かったから、お前も安心して帰れ。家族が心配するぞ?」
「はい、失礼します」
そして通話を終わらせた隆也は、スマホを見下ろしながら忌々しげに呟く。
「一体、何をやった? 下手をすれば共犯だぞ。あの馬鹿」
そして事態の悪化を回避するべくある所に電話をかけ始めたが、同じ頃隆也が予想していた以上に、状況は悪化の一途を辿っていた。
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