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堪え切れなくなったのか、狼が立ち上がって凉葉姫を腕の中に抱き竦めました。
凉葉姫も狼の背中に手を回しました。
誰が言ったの? 狼が怖いだなんて。
本当のあなたは捨てられた仔犬みたいに臆病で、淋しくて、こんなに可愛いのに。
「これで、狼さんも私のものだね 」
綺麗な綺麗な私の狼さん。
あの日、夕暮れの河辺で独り淋しそうに佇んでいるあなたを見た時から決めていたの。
あんな顔をさせていいのは私だけ。
いつ教えてあげようかしら。隣りの国の王子との結婚なんか狼さんを見付けた時にとっくに断っていること。
くすくすと凉葉姫は笑います。
でももう少し黙ってようかな?
独占欲に苦しんで切ない顔してる狼さんは、とっても可愛いから。
腕の中の凉葉姫がそんなことを思っているなど、狼は微塵も知る由はありませんでした。
めでたし、めでたし……?
《ホントのおわり 》
参考:グリム童話集1
↓してやったり!……という顔の凉葉姫さん(笑)
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