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言いながら狼が、そっと凉葉姫の髪にその花を飾りました。
「こんなに綺麗な花が咲いてるし、小鳥もあんなに歌っているよ。 せっかくだから楽しく遊びながら行ったらどう? 」
キラキラと風に靡く銀色の髪。
凉葉姫はうっとりと狼に見蕩れながら、頷きました。
「そうね狼さん、あなたの言う通りね。私、お花を摘みながら行くわ 」
「そうだよ、それにそれもおみやげにすれば、おばあさんもきっと喜ぶよ 」
凉葉姫はにこにこと可愛く笑うと、早速色々な花を探し始めました。
一方、狼は凉葉姫と別れた後、そのまま真っ直ぐおばあさんの家へと向かいました。
涼葉姫はしばらくお花を摘んでいましたが、やがて手に持ち切れないくらいの花を摘むと、「これくらいでいいかしら 」と微笑みました。
あれから、どれくらいの時間が経ったのでしょうか。喜んでくれる姿を想像しながら花を摘んでいた凉葉姫には分かりません。
「そうね、早く行ってあげないと。きっと待ちくたびれてしまっているわ 」
やっと思い出した凉葉姫は、急いでおばあさんの家に行くことにしました。
涼葉姫が家の前まで来てみますと、おばあさんの家のドアが開いています。
「あら、どうしたんでしょう。 今日はいつもと中の様子が違っている気がするわ 」
中に入った凉葉姫はそう言うと、「こんにちは! 」と大きな声で呼び掛けました。
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