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男は深く煙を吸い込み一服を終え、地面に落としたタバコを足で踏み付け車へと戻った。
会社から支給されたヨレヨレのスーツの上からシートベルトを締め、ウィンカーを鳴らしてゆっくりと車を発進させる。
フロントガラスの向こうにはネオンが流れ、歩を進める人達は足早に駅へと向かっている。
「今日はダメだなこりゃ」
平日の寂れた町。
終電が終わればパタリと人はいなくなる。
「今日は上がるかー 」
ため息と共に大きな独り言を吐いた時、
『○○駅西側、どうぞ』
無線が鳴った。
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