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男はこの愛想ない客を一瞥し、瞬時に判断する。
この客は二十歳そこそこだが、ブランド物の服を着て、高級な腕時計をはめている。
だが、こんな辺鄙な場所でタクシーを呼ぶという事は道を知らない。
「遠回りして売り上げの足りない分はこいつで…… 」
考えを巡らせている内に、山田の顔が車内へ。
「何か言った? 」
つい独り言を吐いてしまった自分を反省し、
「ど、どうぞ、乗って下さい」
山田を車内へと導く。
乗り終えたのを確認し終えると扉を閉め、
「どちらまで? 」
「そうだなぁ……
△△町まで行こうかな。
とりあえずここ真っ直ぐ走って」
「かしこまりました」
行き先を復唱し、先程までと違って軽快に車を発進させた。
さらに暗い夜道へと向かって……
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