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―中学時代
周りの子たちは憧れの先輩やアイドルに騒いでいた。
毎日が楽しそうで、キラキラ輝く姿が羨ましかった。
〔こんなイケメン世の中そうほいほい出てこないって〕
ドキドキとかよく分からなかった私は少女漫画を大人買い。
だけど、ツッコミ所満載でなんの役にも立たなかった。
―高校入学して半年。
今度は彼氏が出来た、どうだったって盛り上がってて
私はどんどん取り残されていく。
〔このまま恋をしないで年とって死んでくのかなぁ〕
放課後、家路をトボトボ歩いてると、隣を歩いてた雪に背中をバシッと叩かれる。
『なぁーに暗い顔して歩いてんの?幸せ逃げてっちゃうよぉ?』
雪とは親同士が仲良くて、生まれたときから一緒の幼馴染。
スラッとしたスタイルに目鼻立ちくっきりハーフ顔。
髪もCMのようにサラサラで文句のつけどころのない女性だ。
「私なんてこのまま1人死んでくんだ…」
『まぁた恋が出来ないって悩んでんの?んー…ラブリ、恋ってのはね?しようと思ってするんじゃないんだよ?』
「え?」
理解が出来なくて雪の顔を見ると手をとられた。
王子様が姫の手にキスするみたいに、私の手の甲を雪の唇近くまでもっていき
『ある日・突然・雷が落ちたかのように』
女性でもキレイだと感じてしまう雪の決め顔に目が離せないでいると、雪の頭にチョップをくらわす冬馬。
『セクハラ親父かよ…』
冬馬は雪の双子の弟。
昔はそっくりだったけど、今は雪がメイクしてて似てない。
ただ、元がいいだけあって二人並ぶと眩しいものを感じた。
『あはは!だってラブリの反応可愛いんだもん』
私たちの少し後ろを歩いてた冬馬のつっこみを笑い飛ばすと、私に微笑みかけ更に続けた。
『気付いたらその人の事ばっか考えちゃってて、ドキドキしたり苦しくなったりして、あぁ私恋してるんだなって感じるんだよ!だからしようと思ってするもんじゃないのっ』
漫画でもそんな事書いてあった。
でもそれはいつやってくるのか分からず、やっぱり未来が不安になって唸ると
『ラブに恋愛とかまだまだはえーよ、だってガキじゃん』
「冬馬くんは?恋したことあるの?」
『は?』
「どうなの?」
『んなの知るかよっ!』
頭をガシガシ掻いて私たちの前を歩く冬馬の耳が赤い事に気付く。
〔まさか、冬馬くんももう恋しちゃってるの?…はぁ、どうしよ…〕
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