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私の表情を見た冬馬は一層不機嫌になる。
『ラブ、そんな好きなやつ1人できて幸せオーラ出しててもな、初恋ってのは実んねーんだぞ?はっ、残念だったな』
うすら笑いを浮かべながら言う冬馬。
「え…?」
“初恋は実らない”
好きな人が出来てこんなに充実した気持ちになれてる事に満足しててまだそこまで考えてなかった。
でも、やっと私の恋が始まったのに終わりを告げられたみたいで頭の中が真っ白になってると、雪が冬馬の背中を思い切り殴った。
『ぐはっ…いってぇ、何すんだよ!』
『自分でフラグ立ててんじゃないわよ』
『はぁ?ちげーし…もぉいい!俺先行く』
『おー行け行け!』
シッシッって冬馬に手を振ると、頭をガシガシ掻いてそのまま1人先に行ってしまった。
『あいつはまだお子様なのよねぇ…』
「……………。」
ショックで言葉が出ない。
『ラブリ?あいつが言った事は気にしなくていいんだよ』
「え?じゃあ…」
『…確かにあいつの言う通り初恋は結ばれないってよく言われてる事なんだけど』
〔やっぱりそうなんだ…〕
更に肩を落とすと雪は私の頬を両手で覆い、強引に目線を合わせた。
『それでも結婚した人だっているの。うまくいくいかないなんて本人次第なんだから、ラブリの頑張りにかかってるんだよ?』
「え…」
『あいつは今色々悩みがあってさ、ちょいラブリにキツイ言い方したし、これから先もっとラブリを悲しませるかもしれない』
「???」
雪の言ってる意味がよく分からず眉をひそめると、そのまま顔を抱きしめてきた。
『私はラブリが願う事を応援してるからね。ずっと味方だから、なんか困った事があったら雪お姉さんに言いなさい!』
〔雪ちゃん…〕
その言葉に嬉しくなって抱きしめかえした。
「ありがと…私、頑張る!」
『うん!その意気っ!さぁ、面倒くさいけど学校へ行こっか』
「はぁい!」
冬馬の言葉で目の前が真っ暗になったけど、何か悩みがあったようだ。
たまたま機嫌が悪かっただけかもしれないと、特に気に留める事もなく雪と手を繋ぎ学校へ向かった。
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