53人が本棚に入れています
本棚に追加
血の気のない荒れた手に
ささくれが目立つ指先。
言い当てられて
唇を噛み締めた彼女は
怒りが収まらないのか
田ノ浦に捕まれた手を
振り払おうとしたが
大男の手にがっちりと
握られた手は
動くこともない。
「自分のことをすれば
自分だけって言うくせに
男なんて
口だけじゃない!」
感極まったように
そう叫ぶように言う
彼女は泣き始めた。
泣きながらも
何かを言うものだから
聞いている方は
何を言っているのか
さっぱりわからない。
最初のコメントを投稿しよう!