お兄ちゃん

2/2
前へ
/18ページ
次へ
あんなに大好きだったのに… 小中はあなたが父親代わりで私を育ててくれたよね。 一緒にゲームしたり、どこか出掛けたり楽しかったよ。 だから、将来結婚する人は「お兄ちゃんみたいな人」なんて バカみたいな事考えてたことだってあった。 あんなに大好きだったのに… 高校入ってあなたは結婚したよね。 マイホームに子供まで出来て、幸せ絶頂期だったかな? だけどあなたは変わってしまった。 一緒に引っ越した私を邪魔だと思った奥さんのせいで。 私に向けられてた会話は妻に子供。 部屋にこもる私は、母と二人会話なんてなかったな。 時々会えば冷たい視線に 奥さんのついた嘘で攻め立ててきたこともあったっけ。 あぁ、私の言葉はなにも伝わらない。 なにを言っても無駄ならば、口を縫ってしまえばいい。 早く出ていけ、いつ出てくんだ?お前は居候。生き恥なんだ。 いつからかあなたが私に向けるのは会話じゃなくて罵声。 嫌で嫌で毎日のように出掛けてる私に貯金なんかできなくて あなたとの関係がどんどん悪化していくばかり。 あんなに大好きだったのに… 一番傷ついたのは子供の口から「いつ出てくの?」って言われた時。 あなたの言葉だよね? もう消えてなくなりたいって思ったよ。 こんな時手を差し伸べてくれたのが今の旦那サマ。 地獄のようなあなたの家から救い出してくれたんだ。 だけど、家を出てけって言ってたのに 出て行ってから仲良くしたいアピールなんてやめてよ。 家族なんだから。兄妹なんだから。血が繋がってるんだから。 もう遅いんだよ? 私に浴びせてきた罵声と、人間扱いしてくれなかった日々は ゼロになんかできないんだ。 だからもう放っておいて。 あんなに大好きだったのに… 今はもう会いたくない、嫌いな人。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加