追憶―30年の記憶―

アメショー・メグ

我が家に２匹の猫がやってきた。
アメショーのメグと三毛猫のたぬき。

たぬきの方は触られるのが嫌いで、すぐ逃げてしまうけど
メグは大人しくて、よく抱っこして遊んでたよね。

大好きで大好きで、離したくないほどに大好きだったのに
メグはある日突然姿をくらましてしまった。

探し続け数日が経った時、ようやく会えた。
でも、メグはもう私の事を覚えてはいないようだった。

見つかったのは、裏のお家で。
両親の知り合いだったらしく、家に上がらせてもらうと
私を警戒するメグがいたんだ。

一緒に帰りたくて、無理を言って抱きかかえ家路に向かうと
あんなに大人しかったメグは私の腕に爪を立て逃げてしまった。

もうどうする事もできないんだって分かった瞬間で
一人家に帰って大声で泣いたのを覚えてるよ。

でも、これが間違いだった。
無理やりにでも家へ連れ帰るべきだったんだ。

この数か月後、両親が離婚して引っ越す事になった私。
新居で過ごしてると、母がたぬきを連れてきて嬉しかった。

ふと、メグも一緒だったらなぁ。と話をしたの。
思い出話みたいな感じで、ただ普通に話しただけだったのに母は

「保健所にいれたらしいよ」

私は自分の耳を疑った。
だって、メグは新しい家族に愛されてるように見えてたし
メグだってあの家から離れたくないほど好きだったんだよ？

母の話によれば、私たちが引っ越した数日後に
保健所に入れた話を聞いたらしい。

どうして？
なんでそんな残酷な事をするの？
真意はまったく分からなかったけど、あの時離さなければ。
どんなに爪を立てられても離さなければ今も…