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「ひいっ!」
恐怖のあまり、スマホを目の前のキングサイズのベッドに投げてしまった。
その後も俺のスマホはベッドの上で、ピコーンピコーンと何度もメッセージの受信を知らせ続けている。
やべーよ、こえーよ…
黒瀬さんがこの時間にメッセージ送るなんて、絶対トラブルが起こったに違いない。
ソファの上で体育座りのまま頭を抱え、内臓まで出てしまいそうな深い深いため息をつく。
鳴り続けるピコーンに混じって、音色の違うピロリンとゆう音は聞き逃さなかった。
「佐久間部長だ!」
俺は勢いよくベッドにダイブすると、スマホを拾う。
「あ…」
東日本流通本部のチャットルームが開きっぱなしだった事を忘れてた…
嫌でも目に飛び込んできた内容に、吐き気をもよおしそうだ…
黒瀬[既読無視は構わんが、今夜中に対処しないとお前は東北送りになるぞ]
怖っ
東日本流通本部のチャットルームに釘付けになりそうな視線を必死に引きはがし、ピロリン音の設定された佐久間部長と書かれたチャットルームを開く。
これまでの会話は全て削除されているだけあって、ひとつしかメッセージを受信していないチャットルーム。
佐久間部長[ごめん、急なトラブルで行けそうにない]
了解…
このメッセージも、既読がついたら削除される。
「急なトラブルねぇ…」
同じトラブルの可能性もあるし…
社に戻るか…
ベッドから重い体をのっそりと起こすと、さっき掛けたばかりのジャケットを羽織った。
「おっせーぞ!夏川!どこほっつき歩いてやがった!」
オフィスに入ると同時に黒瀬主任の怒号が飛んできた。
受話器片手に怒鳴る黒瀬主任は「早く来い!」と更に怒鳴る。
電話中じゃないんですか…?
なんて聞く間もなく、黒瀬主任の元へ猛ダッシュを決める。
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