ep.1

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「ひいっ!」 恐怖のあまり、スマホを目の前のキングサイズのベッドに投げてしまった。 その後も俺のスマホはベッドの上で、ピコーンピコーンと何度もメッセージの受信を知らせ続けている。 やべーよ、こえーよ… 黒瀬さんがこの時間にメッセージ送るなんて、絶対トラブルが起こったに違いない。 ソファの上で体育座りのまま頭を抱え、内臓まで出てしまいそうな深い深いため息をつく。 鳴り続けるピコーンに混じって、音色の違うピロリンとゆう音は聞き逃さなかった。 「佐久間部長だ!」 俺は勢いよくベッドにダイブすると、スマホを拾う。 「あ…」 東日本流通本部のチャットルームが開きっぱなしだった事を忘れてた… 嫌でも目に飛び込んできた内容に、吐き気をもよおしそうだ… 黒瀬[既読無視は構わんが、今夜中に対処しないとお前は東北送りになるぞ] 怖っ 東日本流通本部のチャットルームに釘付けになりそうな視線を必死に引きはがし、ピロリン音の設定された佐久間部長と書かれたチャットルームを開く。 これまでの会話は全て削除されているだけあって、ひとつしかメッセージを受信していないチャットルーム。 佐久間部長[ごめん、急なトラブルで行けそうにない] 了解… このメッセージも、既読がついたら削除される。 「急なトラブルねぇ…」 同じトラブルの可能性もあるし… 社に戻るか… ベッドから重い体をのっそりと起こすと、さっき掛けたばかりのジャケットを羽織った。 「おっせーぞ!夏川!どこほっつき歩いてやがった!」 オフィスに入ると同時に黒瀬主任の怒号が飛んできた。 受話器片手に怒鳴る黒瀬主任は「早く来い!」と更に怒鳴る。 電話中じゃないんですか…? なんて聞く間もなく、黒瀬主任の元へ猛ダッシュを決める。
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