ポスター

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 さっきの門番たちがいたところから城まで自転車で20分。 「気が付いたんだけどさ……どうやって、黒い霧を何とかするんだ? おれは何もできねえぞ」 「ああ、それなら大丈夫さ。俺知っているんだ。というか、青井と栗原のゲームで知ったんだが、砂に弱いんだ。その霧。確かゲームで、黒い霧って雑魚モンスターを石つぶての魔法で倒していたんだ青井たちがさ」 「へえ、楽勝じゃん」  そうこうしていると、重厚な鉄製の両開き扉が開き、一人の初老の男が駆けて来た。 「私は大臣のスライクだ。救援物資を持ってこないが、異世界から来たと言う変わった二人がいると聞いた。お前たちか? あの霧を何とかできるのか?」  その後ろにも大臣だろう黄金色のチュニックと頭巾の男たちがいた。  皆、 太っていて初老だ。  俺はもう情報が行き届いていることに驚きの顔を隠せずにいると、明石が大きく頷いて、 「まず、飯だな。食い物と寝床だ」  大臣たちは一斉に笑い出したが、 「この緊急時に呑気な奴らだ。いいだろう。王に報告と晩餐の準備をしてやろう」    城の中へと入ると、兵士たちがすれ違う度に一礼するようになった。  軽く沐浴をするための広い木造りの風呂場。石でできた寝床。  俺は真っ先に風呂だ。  明石は隣の部屋の寝床で飯の時間まで昼寝をしているようだ。  川の水を汲んで来て6回目の洗顔をしていると、銀色の重そうな甲冑を着ている筋肉隆々で丸坊主。長身の男が風呂場に現れた。 「陛下がお呼びだ。まず、お前にお話しがあるそうだ。晩餐は悪いが広間にある鐘が六つ鳴ってからだ」 「はい」  俺はすぐにブレザーを着てから、その男に付いて行った。  王の間へ着くとそこには両側に兵士がずらりと並び、中央の奥。天まで届きそうな長大な窓の前に王冠を被った男がいた。  皺が目立ち、白髪だった。 「そなたの望みは解る。元の場所へと戻りたいのであろう。異世界からの二人よ。何故知っているかというと、そこの魔女に聞いたのだ。何も驚くことはない。だが、一人だけ。外の世界へと戻れるのだという」  ラウル国王は憂いの顔をしていた。  俺は跪いて聞いていたが、話の内容は思考に衝撃を与える。 「え?一人だけ?」 「そうじゃ」  一人のボロボロの衣服の老婆はしわがれた声で、自分を魔女と言った。  遥々、東の方から来たと言った。
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