プロローグ

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今までは休日を利用していたのだが、今回ばかりは自信があり、同時に強い覚悟もあったのだ。 「この検証が上手く行かなかったら、俺にはセンスが無く無理なのかも知れない。 それがはっきりしたら、もうキッパリと諦めよう。」 そう覚悟を決めての旅行だった。 そして、彼はその成果を出したのだ。 それはその旅の二日目の事だった。 彼は自分が導き出し、信じた通りの場所で、それを発見した。 感慨無量だった。 その日は、興奮が冷めず何も手を付けられなかった。 興奮したまま作業を続けたら、折角発見に至った貴重なものを壊してしまう、つまりは彼のこれまでの全てが灰燼に帰してしまう危険を考慮しての事だった。 彼は、その翌日から数日間を使い、一人で、写真を撮ったり、証拠の品を集めたりした。 そして、一応の検証を終えると、休暇も最終日になってしまっていたのだ。 そして、近い内に再び訪れる事になるその場所を、彼が訪れる以前の様に人目から隠した。 自分の長年の成果である発見を、他人に横取りされては堪らない。 そうして、彼はそこを後にしたのだ。 いま彼は、やっと見つけた宝物を手に家路を急ぎながら、自分の趣味を理解しないまでも認めてくれていた妻に感謝していた。 今日と言う日に、妻もまた、素晴らしい笑顔を見せて喜んでくれるだろうと思っていた。 いつの日からか、自分の趣味である研究が果たされ、その報告を聞いた妻が笑顔を見せてくれる事が、彼の最終的な目標になっていたのだ。
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