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その事実だけが、彼女にとっての結果だった。
「先に帰った友人達は、無事に帰宅できたのだろうか。」
ふと、その様な想いが頭をかすめたが、それだけだった。
別に知らなくても良かったし、知る必要も無い。
わざわざ尋ねる事も無い。
今日は、委員会の仕事で下校が遅れた。
それが無い友人達は、先に帰ったのだ。
もし、それが無ければ、何時もの様に皆と一緒に下校をし、こんな事態に巻き込まれずに帰れただろうが、それを言っても始まらない。
結果は、彼女の帰宅を送らせたと言う事でしか無いのだ。
帰宅ラッシュには未だ少し間があったのだが、結局、電車の遅延は、その後のダイヤに大きく影響し、帰宅ラッシュを襲った。
来た電車に乗り、少しでも家に近付こうと考える人達で、普段よりも混んでいる電車に、普段より多くの時間を揺られた。
地元駅の改札を、疲れた表情の通勤客と共に抜けると、多くの通勤客が家路を急ぐ中、美紅は駅前にある本屋に入った。
疲れはあったが、そのまま家に帰る気はせず、今溜めたストレスを少しでも和らげ様と思ったのだ。
本屋では、ファッション雑誌を立ち読みしたのだが、それも少しの時間だった。
彼女は雑誌のページを捲りながら、軽い頭痛を覚えていた。
疲れた体に、本屋の明るすぎる光が堪えたのかも知れない。
数ページを捲った処で、軽い目眩を覚えた彼女は、丁寧に雑誌を閉じて元の場所に置くと、ゆっくりとした足取りで、本屋を出た。
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