第十章『露梁海戦』

3/18
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/243ページ
救援軍が順天へと向かっている最中、露梁津に差し掛かった時に明と朝鮮の水軍が順天城近くの海上の包囲を解き進出してきていた・・・・。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ その数日前、順天城では小西行長が土壇場での交渉巧者ぶりを発揮していた。十四日、行長は白旗を立てた軍船二隻を明軍へと送っていた。対応した武将陳璘に賄賂を送り、幾度も使者を互いに送り合う。 二日後には陳璘は朝鮮水軍の提督である李舜臣に日の本軍との和議について相談するようになっていた。李舜臣は即座に反対していたが、明軍の中では如何に被害を抑えるかに注力しているようだ。 「明軍はやはり我等とは違う!彼等はただ敵を追い返せば良いと考えておる!我等は祖国を攻められておるのだ!敵を根絶やしにせねばまた攻められる怖れがあると判っておらぬ!」 李舜臣は憤っていた。明軍から和議の話が幾度も出ているためだ。はっきり言って明軍はもう戦を修める方向へと意識が傾いている。すると再び家臣が李舜臣へ報告に来た。 「提督!また陳璘将軍から使者が参りましたが如何なさいますか?」 家臣もうんざりした表情である。李舜臣はフーッと大きなため息を吐くと使者に会った。
/243ページ

最初のコメントを投稿しよう!