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天正二十年(1592年)四月に太閤秀吉の命を受け朝鮮の地に降り立ってから約一年。
連戦連勝だった当初の戦からは異なり、冬将軍の到来もあり戦況は停滞していた。
義智と共に苦渋の表情をしている男の名は小西行長。
この朝鮮の地に一番隊として派遣され、先陣として正に秀吉軍を引っ張ってきた男である。
「なぜあの男は大局がわからぬ!このまま戦を続けても益などないことは童でもわかろうに!」
全く怒りが収まらない様子の行長にむかって、義智が訴えた。
「御義父上、このようになってしまったからにはもうどうにも出来ませぬ。太閤殿下に真実を包み隠さず報告されては如何で御座いますか。」
その目は激しく泳いでおり、狼狽している様子が一目でわかる。
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