第一章『終わりなき交渉』

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そこからの行長は苦難の連続であった。 朝鮮とつながりがある対馬の宗氏と共に使者を任され、身の痩せる思いで何度も交渉に臨んだのであった。 しかし朝鮮からすればそれまで従属していた明に対して簡単に弓を引くはずがない。 従属させるのは無理にしろ、明への道を通る協力を依頼するも不首尾に終わり、途方に暮れることもあった。それを受けてこの戦が始まったのである。 秀吉軍は第一軍から第九軍更には水軍も合わせて総勢約十六万。 後軍として秀吉本人が率いる十万の兵も準備するという念の入れようである。 しかし、秀吉本人の朝鮮への出陣は叶わなかった。 徳川家康と石田三成らに反対されたのである。 直ぐにでも渡海しようとしていた秀吉は重臣らの反対により出陣を躊躇する。 確かに彼等の云うとおり、後継者の秀頼はまだ生まれたばかりである。朝鮮へ行き、秀吉に万が一のことがあれば日の本はどうなる。また混沌の地になるのではないか。 そんな渡海を諦めた秀吉の元に届いたのは前軍の大勝の知らせである。 それも連戦連勝。釜山に上陸し進撃を進めると、一ヶ月ほどで首都の漢城をあっという間に陥落させ、朝鮮国王の王子二人を捕虜とした。 そして平壌に追い詰めたのである。
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