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「おぉっ、祐介君! おはよー、起きてたんだねぇ」
扉を開けると生徒会のメンバーが全員いた。聖澤先輩、風香、それに清水さんまで。
開口一番風香が僕の顔を見て笑顔で挨拶する。そして僕の様子を見て相槌を打つ。
「やっぱ風邪なんだぁ。どう、体調は」
「お陰様で全然しんどいよ。てゆうかすみません、マスクもせず会っちゃって」
「いいのいいの、私たちそういうの気にしないし。ね?」
聖澤先輩は二人に同意を求めて風香だけがこくりこくりと頷いた。
清水さんは、ね。
「ねぇ、上がってもいい? 今日は祐介君のお世話しようと思ってさ。一人暮らしだから風邪だと何かと大変でしょう?」
聖澤先輩は言う。
「たしかに大変ですけどでも、」
「じゃあお邪魔しまーす」
最後まで聞かずに聖澤先輩は玄関をくぐり中に入る。まるで躊躇がない。仮にも男の部屋なんですが。
全く意に介さない彼女に続いて清水さんと風香も中へ。
「あ、そうだ。祐介君、お見舞いの品だよ」
思い出したよに風香が鞄の中からコンビニ袋を取り出して僕に手渡す。
中には栄養ドリンクやゼリーなんかが入っていた。有難い限りだ。とくに今、喉がカラカラなんだ。
すっかり彼女たちのペースにやられたが、まぁいっか。美人にお世話してもらえるなんて男として感無量じゃないか。
病人だから甘えたら良いことしてくれるかもしれない(ぐへへ)。
「うげっ。祐介君! 冷蔵庫何もないじゃん!」
奥から聖澤先輩の大きな声が聞こえた。
先輩のところへ行くと何やら冷蔵庫チェックをしていた。
「飲み物ないし、調味料ばっか。もしかして祐介君、今日一日何も食べてないのっっ?」
わりかし本気で心配そうな目を向けられるので、僕はバツが悪く少し視線をそらしながら小さく頷いた。
「ダメだよ! 風邪の時こそ食べないと! こんな中身じゃあお粥も作れないよっ。風香ちゃん! 今からスーパー行くよ!」
「アイアイサー!」
「華凛ちゃんは祐介君の事、頼むわよ!」
「ええっ? 何で私っっっ?」
聖澤先輩は言うだけ言って僕と清水さんを残して部屋を後にした。
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