生徒会のお仕事

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 二人取り残され、しばしの沈黙。  取り敢えず二人ともリビングで腰を下ろす事にした。  こうして二人でいるというのは生徒会室で何度かあったものの、その時は仕事があって喋らなくても成り立っていた空間が、今は会話がないと不自然で気まずくて居た堪れない。  チラチラ、と彼女の様子を伺いながら出方を窺っていると不意に。 「はぁ」  僕と顔も合わせないで彼女は大きくため息を吐き慌てて視線を下にやった。 顔色を伺っていたのに気づいて鬱陶しく思ったのか、と一瞬思ったのだが違って、彼女はポツリと僕に背を向けたまま一言言った。 「あんたって、ホント馬鹿」 「え?」  何の脈絡もなく罵倒された僕。  目を丸くして二言目を待つと彼女は、 「根詰めるなって言ったのに。結果がこれよ」 「あぁ、ごめん。それは」  それを言われるとぐうの音も出ない。 「あんたが皆の為に頑張ろうとしてたのは知ってたよ。てか、皆気づいてる。でもさ、風邪引いたら意味ないでしょ、結局迷惑掛けてあんたの分まで仕事が回ってきて」 「うぅ、」  心臓に刃物が何度も突き刺さるような痛みが襲う。正論という名の暴行を受けている僕。病人だからいたわるという良心は清水さんには無いのだろうか。  さすがに辛いよ、これは。 「だからっ。私が言いたいのはあんまり無理すんなって話よっ」  テンションが下がった僕の心境を察したのか、清水さんはバツが悪そうにそう纏めた。 「あんたが居ないと、生徒会は大変なのよ」  素直なコメントをしている事に恥ずかしさを感じたのか、清水さんの声は段々と小さくなる。  それでも僕の胸には大きく響いた。 「それって、僕のこと」  必要と思ってくれてるって事なのかな。  
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