生徒会のお仕事

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 僕の目の前には大量の紙束。  今日中に目を通さなければいけないものだけでも五十枚は優に超える。    だが、無数のプリントと向き合っているうちに時間から解放されたみたいに目の前の事しか気にならなくなる。雑音はまるで聞こえないし目移りするほど視界は広くない。  僕はもしかしたらゾーンの中にいるのかもしれない。  やらなければいけない事が多ければおおい程、締め切りが近ければちかい程ハイになるタイプなので仕事に追われているとは言っても悪くない気分だった。 「ねぇ、ねぇってば!」 「は、はいっっ?」  膜に遮られぼんやりとしか聞こえなかった声が、その膜を打ち破り突如として鮮明な声となり僕を脅かす。  僕はつい、大袈裟に肩を震わせ慌てて返事をする。 「あんた、そんなに集中してたの? 何度も声かけたのに」 「そ、そうだったの? ごめん、気づかなかった」  まるで寝起きのように間延びした声で僕は答える。 「あんまり根詰め過ぎるの、良くないわよ」  と、僕の身体を労わっているような事を言う。意外だ。 「な、何よその意外そうな目は」 「だっていつもはそんなこと言わないし」 「あんたがさっきからずっと休憩も入れないでやってるから。見てるこっちが不安になるのよ」 「はぁ、」  何と答えたら良いのかわからず間延びした声が出る。  何なんだろう? 心配してくれてるのか? 僕のことをどうでも良さそうに見ている彼女からそんな言葉を掛けられると戸惑ってしまう。  しかし、僕には心配の声は勿体無い。  僕は今まで、散々迷惑を掛けてきた。  だからその分だけ僕は頑張らなくちゃいけないのだ。根を上げている暇はない。  でも、心配してくれたことは純粋に嬉しい。  こんな時は「ありがとう」と言えばいいのかな。だけど考えている間にタイミングを逃してしまい、結局会話はそこで終わった。  
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