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下校時間が近づき、会長の号令で帰ることになり皆身支度を整える。
「祐介君、まだやってるの? 今日も遅いし、帰りましょう?」
「もう少しだけ、いいですか? もう終わるので」
聖澤先輩が未だ仕事に取り掛かる僕を見て促してくるけど、僕はもう少しだけやっておきたい事がある。
お願いすると先輩は少し考える仕草を見せてから「あんまり無茶はしちゃダメよ?」
快く許してくれた。
「じゃあ鍵は置いとくから戸締りお願いね?」
「祐介君、また明日ね~」
聖澤先輩と風香は手をひらひら振りながら帰路につく。
こうして僕は一人生徒会室に残ることとなった。窓の向こうは薄闇が広がり部屋の照明が存在感を発揮する。
一人になった事で急に力が抜けて僕はへたり込む。
さっきから身体が怠いし重い。鉛でも付けているみたいだ。
それでも僕は手を止めるわけにはいかない。最近、通常の仕事に加えて文化祭や紅葉狩りなどと言った行事の準備などが重なって多忙極まる日々が続いている。
そのせいで通常業務が手付かずになっているのだ。
まだ僕は新人というということもあって割りかし簡単な仕事が割り振られている。
だから余力はまだ、皆よりは残ってる。
ほんの一月前のダメダメな僕を皆がサポートしてくれたように今度は僕が皆の分まで頑張らないといけない。
自らを鼓舞して僕は作業を進める。
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