*参

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Side.R がちゃり、と珍しく静かに開いた扉に、それ迄一度も外すことなく紙面に向けていた視線を向けると、そこには何があったのやらひと目でわかる程気分が良いらしい燐夜がうっすらと笑みを浮かべて生徒会室に入ってきた。 ……なんだ?九十雲が姿を消したあの日を境に目に見えて暗くなってた癖に… ちなみに燐夜っつーのはこの黒刀学園大学部の生徒会副会長、榛原 燐夜のことだ。俺はその生徒会の頭である会長、嶺岸 瑠斗だ。 …忘れて、ねえよな?ちなみに作者は苗字までは流石に憶えてなかった。 「瑠斗一人ですか…秋羅と翔はどうしたんです?」 「俺一人なのはいつものことだろォが。あいつらならどうせまた親衛隊のとこだろ」 「またですか。あの二人の節操無しも最早呆れますね」 秋羅は九十雲が居なくなって、間違いなく一番悪い方向に変化してしまった奴だろう…幼稚舎から共に過ごしてきてこんなことになるだなんて誰も予想だにしていなかったが、超絶潔癖症神経質のアイツが何を考えたか親衛隊をセフレにするようになった。翔の親衛隊との関係性にいつまでも苦言を呈していたのは秋羅だけだったというのに。 翔はというと九十雲に一度最中の現場を目撃されたらしく、それからは一切親衛隊との関わりを断ち切っていたというのに逆戻り…いや寧ろ悪化した。毎日代わる代わる自分の親衛隊員でない奴でさえそこらの空き教室で抱いているらしいから、もう何も言うまい。 燐夜は夜な夜な寮を抜け出して街に出たかと思えば所構わず喧嘩を吹っかけ殴り合い。口は達者なコイツに挑発されりゃあ元々短気な不良たちは喜んで喧嘩を買い、家柄上護身術はおろかよくわからん格闘技まで身に着けた燐夜の手により返り討ち。荒れに荒れ"血染めの赤鬼"とかいう厨二臭い異名が付けられるほど街の方では有名になっているらしい。しかも秋羅程ではないが潔癖で、特に香水や煙草の匂いに散々文句をネチネチ言ってた癖に辿り着いた先はヘビースモーカー。 斯く言う俺はというと、そんな奴らの放棄した仕事が回ってきて高等部から今の今まで仕事三昧。忙しいったらありゃしなくて正直落ち込む暇もなかった。いやクソ落ち込んだけど。 **
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