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倉科恵畄…九十雲の親衛隊隊長だとかいうあいつに一喝されてからはあいつらの仕事が回ってこなくなって晴れて俺の仕事量は減ったが、三人の捻じれきった性分に関してはそう簡単に元通りにはならなかった。
秋羅も翔も暇さえありゃセックス、燐夜は夜な夜な喧嘩三昧、俺は相変わらず仕事に没頭する毎日。
…それが、これは一体何だ。
「瑠斗…俺、喧嘩も煙草止めようかと思うんですけどどうですかね?」
「…は!?毎夜喧嘩に明け暮れるヘビースモーカーのお前がァ!?一体なんの心境の変化だよ。それに今日はやけに機嫌が良いじゃねェか」
思わず口をついた言葉にいつもならこれでもかというくらいメッタメッタに反論を食らうので反射的に身構えるが、今日は余程機嫌がいいのか、側にあった屑籠に煙草と愛用していたライター、携帯灰皿をぶち込んだ燐夜は数年前のあの頃のように偽りのない笑みを浮かべた。
「貴方が変わってしまっても、それは俺たちも同じだから…それでも、貴方を手に入れることは諦めませんよ…九十雲」
燐夜のその呟きは俺の耳には届く事はなく、結局その機嫌の良さの正体に気付くことなく謎の違和感を残したまま、俺はいつものように仕事を再開した。
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