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正門なう!
…え?なに?いきなりすぎるって?
じゃあ改めて…今現在僕がいるのは学園の正門の前。王道転入生がうわぁ…なんだよこのデケェ門…ていうお決まりのあの場所。そんでもって朱石くんとの待ち合わせの時間のだいたい五分前。
あれだよね、五分前行動って大事。ちなみに外出届は前日のうちにちゃーんと出しておきました、朱石くんの分まで。偉い?ねえ、僕偉い?
…ごめんなさい、テンション高くて。でも休みの日の早起きした朝ってだいたいこんなテンションにならない?分かる人いないかな。
「…すみません九十雲先輩、待ちました?」
「あ、朱石くん。三分待った…三分だから大したことない…のかな?うーん…うん。大丈夫だよ、待って…ない。うん、待ってない」
イタリアに行ってから時間の一般的な"長い""短い"がよく分からなくなった。そもそも僕は一応身分的には偉い人な訳で、基本待たされることなんて本当に余っ程のことじゃないとないからね。三分って長いほうなの?
うんうんと唸っていると、そんな僕の様子を見ていた朱石にくすり、と笑われてしまった。
「ふふ、待たせておいて私がこう言うのもなんですが、三分なら大したことはないのでは?一般的に三分は待ったには入りませんよ」
「ふうん。朱石くんに"一般的"っていうのが分かるんだ?」
「…知っているんですね、私の家について」
「ふふっ」
そりゃあもう朱石くんがこの世に生を受けてから現在に至るまで、全身にあるほくろの数と位置まで正確に把握していますとも。
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