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「まあとりあえず、さ。今日一日は僕の予定にとことん付き合ってくれるんでしょう?」
「え?ええ、そのつもりですが…」
「よしっ。じゃあこんなところでだらだらしてないでさっさと行こ!久しぶりの日本だし学園外はろくに歩き回ったこともないし、もう待ちきれないんだよねえ」
繋いだ手をそのままに、半ば強引に僕と朱石くんと学園を出た。
…あんなことになるのなら、僕は何があろうと学園から決して出たりはしなかったのに。
Side.P
これは、一体なんの悪夢だろうか。
「……」
「おい」
これが悪夢だというなら早く醒めてくれ…一刻も早く。
「…」
「っチ、おい!」
どうして俺は今、こんな奴と二人きりでこんなところにいるのだろうか。
「…」
「~っっ、おいテメェ、聞こえてんのか!?」
…ああ、そうだ。あの糞秘書…って言ったら九十雲さんに怒られる。あいつ、月詠のせいだ。
「…Troppo rumoroso<うるさい>」
「はァ!?何言ってんのかわかんねえよ、日本語喋りやがれ!」
そもそもこんな喧しいやつと二人きりになったのは100%月詠のせいであり、先程までは月詠に双子のもう片方もここにいたのだ。なのに何故こんなことに…
こいつ、朱石の側近の双子の片割れである華蜜(煩い方)と二人きりになったのを説明するには、今から数十分前まで遡らなければならない…
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