*参

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集合場所として指定されていた大学部の玄関前まで行くと、集合時間数十分前なのにも関わらず月詠と朱石の側近である双子が既にそこにいた。時間前行動するのが当然にしても早すぎだろうこいつら… ゆったりと歩みを進めそちらに向かう俺を三人が急かすように鋭い視線を向けてくるのもさして気に留めず、そのままの速度を保ったまま三人の元へ辿り着くと、月詠は重く深い溜め息を吐いた。 「お前な…全員待たせてるんだから焦ることくらい出来ねえのか?それとも九十雲以外にはそんなこともしねぇってか」 「…集合時間の数十分も先に勝手に早く来たのはそっちだろうが、俺の知ったこっちゃない」 喧しい小言に嫌味を返してやれば月詠の表情は不快だと言わんばかりに歪んだが、事実なのだから仕方がないだろう。 九十雲さんはこいつと協力しろだなんて言っていたが、やはり俺はこいつが嫌いで、こいつも俺が嫌いで。公私混同など言語道断だとは理解しているが無理なものは無理だ。 「別に待ってないし気にしてないから君たちが口喧嘩をする必要はないと思うけど?僕たちは九十雲先輩に加え若、涙様から君たち二人に校舎案内しろとお願い…否、命令されてるからさっさと終わらせたいんだよね」 **
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