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双子の兄の方…華路に、正直こんなことなど面倒なのだろう、気怠けな雰囲気を纏いながらもハッキリとした口調で言い合いを制止され、月詠と睨み合っていた視線を互いに逸らした。
今ここにおらず、剰え護衛もなしに外に出ている朱石を心配いるのだろう。
一方の弟の華蜜は何が何だか現状を把握しきれていないのか、訝しげな表情を浮かべたまま俺と月詠を交互に見ては僅かに首を傾げていた。こいつこんなんで本当に大丈夫か…?
「…お前、華路だっけ。華路は、朱石はともかく九十雲にお願いされたからって言うコト聞くんだな」
「涙様はこの学園に入学した当初から九十雲先輩にひどく関心を持たれていてね、彼の人となりはある程度耳に入っている。ある程度ならば聞き入れても良いと思った迄だよ」
「え!?若ってあの人のこと気にしてたのか!?」
「…華蜜は気にしなくてもいいと思う」
兄にまで呆れられてるぞ、華蜜。名前の通り考えが甘いんじゃないかお前。頭ン中蜜でも詰まってんじゃねぇの…
それにしても朱石が九十雲さんを…ね。まあ、九十雲さんは高等部在籍当初知名度も人気も高く崇拝していた者も少なくはなかったらしいし、退学してからは学園はかなり荒れたって話だから気になって当然か。だが飽くまで初対面の人間なのだから普通警戒するだろう?いくら調べて人となりをある程度把握したからといって二人きりで外に行かせるか?
一体こいつらは何を考えているんだ…?
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