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俺とリアは抗争では度々同じ場で闘っていることが多いが、その時は必ず中心に九十雲が立っており俺たちは九十雲を基点に動いているので統率がとれるし、なにより九十雲はあの華奢な見た目に反して強い。連携云々以前に彼奴が気付いたら周りの奴らを壊滅させているのだから、俺たちのこの決して良くはない関係がこれ以上拗れることもなければ、逆に改善されることもなかったのだ。
マフィアが何言ってんだ公私混同するな、って話なんだけどな。はっきり言って俺はリア…あの駄犬が嫌いだ。そしてあいつも、俺のことをきっと殺したいくらいには憎いのだろう。
俺とあいつでは、九十雲に求めるものも、与えられているものも…九十雲に望むなにもかもが違うのだから。
「…で、ここが視聴覚室。ねえ、月詠先輩ってば僕の話聞いてる?」
「ん?ああごめん、聞いてたよ。ここが視聴覚室なんだろ」
「もう、折角僕が時間を割いて案内しているんだからちゃんと聞いて下さいね?」
ふ、と弛く笑みを浮かべてみせた華路は、その表情のままくるりと前を向き再び歩を進める。
なんだ、典型的な日本人の平凡顔かと思ったら案外整ってんじゃねーか。
…いや、俺が無意識に九十雲や翼砂さん基準で比較してるせいで美意識感覚が狂いまくってんのか。あの二人を基準にしたらそりゃあそこらの顔は平均以下に感じるだろ。
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