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「私は九十雲にはあれが似合うと思いますが」
「ああ、あれ?そうだね、あれも悪くな…え、九十雲?」
「いけなかったですか?出来れば私のことも涙と呼んで頂けるととありがたいのですが」
「アッハイ」
突然の名前呼び。い、意外とぐいぐいくるね…?童貞って揶揄ったからですか?朱石…じゃなかった、涙くん実は肉食?これが噂のロールキャベツ系男子ってやつですか?
「女物を好まれるのでしたら是非これを。きっと貴方に似合います」
「えっ…あ、うん。ソウダネ」
パステルピンクを基調に純白のふりっふりのレースで縁取られたロリータみたいなワンピースを渡され、半ば強制的に試着室に押し込められ思考が中断した。
巫山戯て歳下の男の子を揶揄っていたら女装するはめになった件。いや慣れているけども。
悲しきかな世間一般的に中性的と言われる部類の顔立ちなお陰で仕事上女装させられることが非常に多い。剣人もリアもパリッパリのスーツを着ているというのに、かく云う僕は身体のラインを強調したマーメイドドレス。加えて筋肉もさほど無く、なんなら喉仏もぱっと見ではあるかどうか分からない故にストール等で覆い隠す必要もなく常に露出が激しい。
あれ?おかしいな目から汗が…
「九十雲?随分時間が…ああ、背中のほうが結べないんですね。貸してください」
「っわ、あ、ありがと、んっ」
「ふふ、背中が弱いんですか?ですがうまく結べないので我慢して下さい」
待ちくたびれたのか断りも入れずに試着室に入ってきた涙くんに、腰までざっくりと編み上げになった背中のリボンを至極優しい手付きで結ばれる。いやめっちゃ擽ったいです。図星です背中は弱いです。分かっているなら一思いにがっつりやってくれ。
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