第13話

３２、誓イ

〝繭子さん、これから記者会見の様子が夕方のワイドショーで生放送される。それを見届けてほしい”

あと数分で夕方のワイドショーが始まる。

新作の主演映画の制作発表会見だって言っていたけれども、どうして悠馬は私に見届けてほしいなんて言ったの？

ホテルを出て、街を歩きながらずっとその言葉の意味を考えていた。

それに、その会見が終わったら、あの思い出の遊園地で落ち合おうだなんて―…

悠馬は何を考えているの？

私はあの日、あなたの前から姿を消したのに……

今日だって、あの中庭での再会の後、とても同じ館内に居れなくてホテルから出てきたというのに―…

あんな一方的な約束をされたら、揺らいでしまう。

けれども、

「駄目……行けるわけない……」

揺らいでしまえば、あの決断の意味がなくなってしまう。

せめて可能な事は、

たった今、街なかの大型ビジョンに映し出されて始まったワイドショーを見届けるという事だけ。