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「あんたがそんな料理がうまいなんて、知らなかったなあ」
いつもと同じお昼休み。
美琴ちゃんが私のお弁当を覗き込んで目を丸くする。
「失礼だなあ。うち、共働きでしょ? だから、小さい頃からけっこうお料理してんだよ」
「へえ。 しっかし、あんた、朝、苦手じゃなかったっけ? よくお弁当なんて作れるよね」
「うん、まあね……」
美琴ちゃんには言えないわよねえ。
朝から『腹減った』ってうるさいのが3人もいるから、嫌でも目が覚めるなんて……。
「で、その後、王子様たちはどう?」
「王子様って何よ?」
「ふふ。照れない、照れない。あんただって、あの3人のこと、ちょっとかっこいいって思ったでしょ?」
うっ! 美琴ちゃん、いつもながら鋭い……。
「あははは。ほら、赤くなった」
「からかわないでよ~。 もう毎日戦場みたいなんだから」
「そりゃ、ま、世間知らずだろうしねえ。ツボの中で50年だっけ?」
「そうなのよね。でも、それだけじゃないみたい」
50年前の人間がいきなりタイムスリップしてきたって、きっとあの3人みたいにはならないと思うのよね……。
「魔物は欲望に忠実って言うじゃない? 相変わらず熱烈に口説かれてるのかねえ」
うー。美琴ちゃん、他人事だと思って楽しそうなんだから。
「なんなら美琴ちゃんに1人譲ってあげようか? 誰がいい?」
「パス! 親友の男に手を出すほど、男に困っちゃいないからね」
「だから、私の男じゃないって」
「あらあら。私の男なんて、蓮っ葉なことを。やっぱり同居って偉大だねえ」
「美琴ちゃん!」
「怒らない、怒らない。冗談はさておき、最近毎日が楽しそうだってのは認めるでしょ?」
「それはね」
確かに、慣れっていうのかな、最近は、3人が何をしてもけっこう平気になってきちゃった。
それに、思ってもみなかったことをするから、毎日がハラハラドキドキで、今までの単調な生活が嘘みたい。
「ほらほら。 お友達から恋人へ変わる日も近いかなあ」
「それはない!」
「即答なところがかえって怪しいぞ~」
「もう。美琴ちゃんも今はフリーなんでしょ。私のことばかっり言ってないで、自分はどうなのよ?」
「そりゃもう、充実してるわよ~」
クスクス笑ってる美琴ちゃん。
確かに、美琴ちゃんファンの男の子って多いもんね。
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