第1章

3/40
前へ
/40ページ
次へ
 「あれ?」  ん? 美琴ちゃん、窓の外なんか見つめてどうしたんだろう?  「どうしたの?」  「あれって、あんたの彼氏その2じゃない?」  か、彼氏その2~???  「み、美琴ちゃん。人聞きの悪……あっ!」  な、なんで~~っ? なんでロイが学校に来てるのよ!?  「間違いなかったでしょ?」  間違ってるわよ~。ロイはうちの居候であって、彼氏なんかじゃないもの。  大体、彼氏その2って、その1は誰よ!?  なんて突っ込んでる場合じゃない~い。  「私、ちょっと行ってくる!」  「いってらっしゃ~い。ダーリンによろしく~」  美琴ちゃんったら本当に楽しそうなんだから! ……でも、多分逆の立場だったら、私も同じことするんだと思うけど……。  あ~っ! そんなこと言ってる場合じゃない!  私は、思いっきり廊下を走って、裏庭に向かった。  「お~、いた、いた。俺もさ、学校ってやつ体験させてくれよ。俺、家にいるの、もうつまんなくてさあ」  「ちょっと、ロイ。何言ってるのよ。ここの学生じゃないと、学校の中には入っちゃダメなのよ」  「堅いこと言うなって」  「そういう決まりなの。学校が終わったら、買い物に連れて行ってあげるから、家で待ってて」  「そんなのつまんえよ。だって、肉は体に悪いって、魚ばっか買うし。おやつのチキンナゲットだって、2回に1回しか買ってくれないし」  「今日は、お肉料理にしてあげるわよ。それに、チキンナゲットも買ってあげる」  「やった~! けど、学校って面白うそうだから、かなたのお前の勉強が終わるまで、ここで待ってる」  「え~。それはダメよ」  「なんでだよ? あっちの広場で、サッカーの準備してる奴がいたぜ。俺、一緒に遊んでるから」  「それは、遊んでるじゃなくて、体育っていう授業なの。だから、ダメだって」  「ちぇ。じゃあ、うまそうな肉とか野菜とかが置いてあった部屋があるから、そこでなんか食べさせてもらってるよ」  「それもダメ~。それは、家庭科室。これから、お料理作りの勉強をするの」  「勉強? じゃあ、俺、味見してやる!」  「あのね、ロイ。授業は学生じゃないとできないの。だから、家で待っててよ」  「家にいたらフロリアがうるさいんだよなあ。あっ、なあ、お前の横でおとなしく座ってるってのもダメか?」  ロイがおとなしくできるわけないじゃない。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加