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「友達になろう」
って、言ったことある?
私は無いんだ。
それでも、友達はそれなりにいた。
友達ってそう言うもの? そうかもね。
でも、私が友達だって思っていたあの子達は、私を煙たがっていたのかもしれない。
自分自身が友達って思っていれば、それで良いじゃない!
なんて言う人もいるかもしれないけれど、私にはそんなこと到底無理で。
だから、友達のような、じゃないようなな人達と、本音を交わすことなく付き合っていた。
それが、友達じゃ無いかもって気付いたのは、大学を出てから。
就職活動を始めてからと言うものの、学生時代の友達とは徐々に連絡を断っていった。
年を取ったらそんなものかもって思っている自分がいたけれど、問題はそこじゃなかった。
新たに友達が欲しいなって思った時のこと。
私は職場で、また自然と友達らしい人が出来、それからと言うものの毎日が楽しんでいた。
彼女は私と同じ控え目なタイプで、特別私と仲良くしてくれていた。
だけれど、ある日のこと。
「そのバッグ、もしかして雑誌に載ってたやつ?」
職場の女性達が、彼女に聞いた。
彼女が頷くと、女性達はぞろぞろと群がり、ファッション雑誌の話題で盛り上がった。
ファッション雑誌なんて、本屋でちょっと目を通すくらいだった。
当然、私は話についていくことが出来なかった。
それからと言うものの、彼女はその女性達と共に行動するようになった。
私は、一人ぼっち。
時々、時間が空いた時に声をかけてはくれたけれど、暇つぶしに気遣ってくれているような気がして、彼女への妬みと嫌悪感が募っていった。
だから、同情で彼女に声をかけられまいと、別の女性達に声をかけるようになった。
別の女性達とは、以前仲良くしていた彼女を含め、職場の同僚の悪口を言いあう仲になっていた。
特に趣味が合うわけでもない、顔を合わせば、悪口ばかり。
それでも、私は他人と何かを共有することで、幸福感を得ていた。
ところが、私は職場の違う階の社員に恋をしてしまった。
悪口を言いあう仲間達にそんなことを言う勇気も無く、かと言って悪口を言っている相手である彼女にも言えず、一人悶々と思う日々。
そんな私ではあったけれど、勇気を出して社員に声をかけてみた。
すると、社員の男性は、爽やかな笑顔を私に向けてくれた。
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