骸探しの静か

6/6
前へ
/167ページ
次へ
 彼女は骸を持つお師匠様に驚いていたけれど、驚きのあまり声を上げられないようだった。 「死んでしまったら、治らないのよ、この傷も。どうか、この子のことを悼んでやって」  私の言葉に、お師匠様もまた、小さく頷く。  私達を見ると、彼女は目を閉じ、ゆっくりと頷いた。  静かな森の奥。  人知れず建った寺の中、私達のお経だけが響いていた。 (完)
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加