スイスロールと外人

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空気銃の音が鳴ると、俺は全力で駆け抜ける。努力は実を結んだらしい。隣にいた男と接戦になりながらも、最後でスピードを上げると、難なく一着を手にすることが出来た。勝ち誇った俺は、抜かしたライバル達を見る。夫婦や家族で来ていたものもいるようで、後のものに託していた。俺のように一人で来ていたものは、その場で泣き崩れていた。世の中というのは思い通りにいかないことばかりである。しかし、俺は同情しない。俺は、勝つに値する程のもう特訓をしたからだ。こんなところで負ける奴らなど、面白おかしくやってきた奴等や、運動をサボってた奴等ばかりに決まっている。俺は鼻で笑うと、その場を去った。 ――  一回戦は、正直沢山いた参加者を減らす為の大掃除と言ったところだろう。しかし驚いたのは、二回戦でも掃除をしたと言うところ。これも、さっきと同じく六人分の席があるからだ。席があると言うことは、今度はクイズか。造作もない。係員の指示に従い、俺や他の参加者五人が席に座る。俺は一番右の席だ。一的に地味なだけに、クイズをバンバンと答えれば、注目の的だろう。  クイズが始まると、可笑しい程に俺ばかりが正解を答えている。さっきの競争よりもつまらない。正解を独占する俺に、周囲の視線は釘付けだ。この感じ、悪くない。この争いでは知力も必要だろうと察し、一年間運動の合間に勉強漬けしただけのことはある。俺が勝ちぬけたのは、当然の出来ごとだった。ここでも、敗退した人間は自暴自棄になっている。馬鹿だな、簡単な予習くらいでスイスロールを一カ月も食えると思うなよ。俺は脚を組んで勝ち残り席に座った。 ――  三回戦。これだけ人数を絞られれば、何となくあるんじゃないかと察していた敗者復活戦だ。興味は無いが、もし最後の戦いが体力を使う勝負だとすれば、ここで茶番を入れといた方が俺の体力も温存出来るだろう。腕を組み、多くの人間がスイスロール目掛けてもがく様を堪能していた。よく頑張っている。一度俺に負けて、勝てる奴などいないのにな。 ――
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