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結果、人が数人増え、四回戦は参加者が七人になった。ここから、二人に減らすとのこと。敗者復活戦で勝ち上ってきた奴は論外だ。それより、気になっていたのは俺と同じく、一、二回戦を自力で勝ち上がってきた、あの外人の男。なかなか侮れない。
「スゴイですネー。アナタ、意外と軟弱だと思ってマシタが、結構タフなんですネ」
「それはこっちのセリフだ。あなた、なかなかやるな」
「健闘を祈ってマス!」
外人の男とハイタッチをした。四回戦は、二チームに分かれたカルタ取りと来た。少々予想していたのと違って厄介だな。スピードは体力でカバー出来るが、カルタならば読んだ札が偶然相手の近くにあることなどよくある。集中力だけでなく、運も試される。神よ、どうか誰よりもスイスロールを愛する俺を見捨てないでくれ。
「ピカピカの、ボディが素敵な新品車」
俺はピの時点でお題の札を吹っ飛ばした。先手は貰った。
「愛車なら、適度に洗おうそれが愛」
二枚目も頂いた。目を凝らし、必死に上の字だけを位置と一緒に覚える。内容など聞いていない。
その後も俺はほとんどの札を奪い、この勝負を圧勝で飾った。戦いに敗れて落ち込んでいた群衆も、俺のあまりの強さに手を叩いている。何て気持ちよさなんだ。隣で恨めしそうに見ている敗戦者など気にもならない。ただ、俺が唯一この状況で気にしているのは……奴だ。あの、カタコトの外人。頭の悪そうな口調をしておきながら、ここまでやってくるとは。だが、それでこそスイスロールを持つに値する。これは素晴らしい勝負になりそうだ。
――
決戦は、緊張感や歓声と共に始まった。アナウンスも熱くなっている。
「さぁ、ここまで勝ち上がってきたのはこの二人だ! この決戦に、お前達息をのめ!!」
アナウンスの言葉で、ボルテージも最高潮だ。俺も、ここまでの努力を思い返し、胸が熱くなる。良い。素晴らしいエンディングになりそうだ。
「では行くぞ! 最終戦は、スイスロール大食い対決だーっ!!」
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