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外人は振り向くと、俺に向けて段ボールを手渡した。
「ど、どうしてこんなこと……」
「実は、あのロールスロイス売っちゃったネ。あってもワタシには意味無いしネ。ついでに、貴方にプレゼントネ」
外人の粋なプレゼントに俺は感動していた。先日と同じく、自然と涙がこぼれる。流石は、俺の一番のライバルだ。そう思った。そうも思ったのだが、俺は重要なことに気づいてしまった。
そうだよ。俺も、あの時とりあえずロールスロイスを貰って、売った金でスイスロールを買えば良かったんだよ。
外人は現金を払うと、すぐさま店を出ていった。ガラスの戸越しに、奴が俺の顔を見た。馬鹿な奴め。そう言いたげな顔をして。
(完)
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