15(承前)

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 透明な訓練用の軍服を装着した兵士たちが3人ずつ3組になって突撃してきた。こちらの周辺にも援護射撃の銃弾が着弾する音が聞こえてくる。まだ正確には自分たちの位置を捉(とら)えていないようだけれど。  タツオはソウヤに命じられた通り、3点バーストからフルオートに軽機関銃を切り替え、光のカーテンを抜けてくる敵めがけて掃射した。  最初は兵士の頭上を越えていた射線が、銃口をわずかに下げるとしだいに兵士の胸のあたりまでおりてくる。自分も狙撃銃で狙いをつけながらソウヤがいった。 「その高さで横に薙(な)げ!」  9名いた横一列の突撃隊の左端3人が胸と腹にレーザーを受け、その場に倒れた。タツオには命中の感触がまったくなかった。銃弾は7~80メートルは優に離れた敵を、ゼロ距離で結ぶのだ。高性能炸薬(さくやく)で金属の弾を発射する銃という武器の不思議を感じない訳にはいかなかった。これが一丁あれば、誰でもさして良心をとがめることなく、人を殺せるだろう。人差し指をほんの数ミリ動かすだけなのだ。  それが重大にして致命的な結果を生むとは、銃の威力を知り尽くした者にしか想像ができないだろう。対して「須佐乃男(すさのお)」はどうだろうか。あのロボット兵器はさらに戦場での殺人を軽いものにするのではないか。ひとつのクリック、ひとつの命令が数百数千という敵の命を奪う。そこに広がるのは戦闘ゲームより軽い人の死かもしれない。
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