218人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、星羅ちゃん。射的あるよ、射的」
ぱっと話題を変えるセイゴさん。
「射的かぁ。昔、夏祭りとかでよくやったけど、うまくいかなかったな」
「俺、こういうの得意」
そう言って彼は、親指をぐっと上げた。
「あげちゃったペンギンの代わりに、何かとってあげるよ」
セイゴさんは射的コーナーの方へ歩み寄った。
コインを入れるところに百円を投入すると、音楽が鳴り始め、ぬいぐるみやらおもちゃの鉄砲や
らキャラクターの置時計やらが左右に動き出した。
「見てて。一発で決めるよ」
自信満々のセイゴさん。
その瞳は、子どもみたいにキラキラしている。
「どれが欲しい?」
「あ~、じゃあ、あの大きなウサギのぬいぐるみ」
「的大きいな。簡単にとれるよ」
彼は鉄砲を取ると、顔の横に掲げ、片目を閉じて的を絞った。
ぱんっ。
コルクが飛び出す音がして、次の瞬間、ウサギのぬいぐるみは大きくのけぞって、下に落ちた。
「すごい……」
「な。こういうの俺、得意なんだ」
落ちたぬいぐるみは、レーンをくぐって、私たちの元へと転がってきた。
最初のコメントを投稿しよう!