セピア色の夕焼けが眩しい

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セイゴさんはちょっと驚き、そしてまた黙って私を見つめた。 「もう、いないの。お別れしたの」 「そう、なんだ……」 安堵ともとれる表情をするセイゴさん。 「セイゴさんの方こそ、立川絵里さんは……?」 「もう、いない。お別れした」 私の言葉をなぞる彼。 じゃあ、私たち……。 魅かれあっても、いいんだね? そう思うと、一気に脱力して、その場に崩れ落ちてしまった。 「! 星羅ちゃん?」 セイゴさんは慌てて私の元へ近寄る。 「大丈夫?」 「大丈夫。力が抜けただけだから――」 そう言うと、セイゴさんは、おもいっきり私を抱きしめた――! 「セ、セイゴさん……?」 驚いたけれど、とても安心する自分がいた。 彼の腕の中で、私は身を預けることにした。 暖かくて、柔らかい。 セイゴさんって、使い慣れた毛布みたい
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