セピア色の夕焼けが眩しい

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「――立川さんとはね、終わりかけだったんだ。好きなひとができたって言われて……。でも、そんなショックじゃなかったな」 くっつけられた頬から、彼の声がダイレクトに伝わってくる。 「どうして?」 「……君に、出会ったから」 「私……?」 「一目惚れだったんだと思う。君から漂う哀愁が、俺をひきつけた」 「……私は、一目惚れじゃなかったな」 「誰に?」 「セイゴさんに。一目惚れじゃなかったけど、好きになった。だから私も、彼氏と別れても辛くなかった」 「……俺のこと、好き?」 まるで女の子が言う科白だ。 「うん、好き……。セイゴさんは、私のこと、好き?」 「好きだよ!」 そう言って、またぎゅっと抱きしめられた。 私たちは、思いを交し合っていた。
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