セピア色の夕焼けが眩しい

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週刊誌に載るのも、いい記念、か。 前向きなセイゴさんの発想だ。 「じゃあ、思いっきりいちゃいちゃしちゃう?」 私が彼の顔を覗き込むと、セイゴさんは笑って私のおでこを小突いた。 そして、ふたり、笑い合う。 楽しいね。 セイゴさんと一緒だと、色んなものが、キラキラのプリズムに見える。 青空も、セイゴさんの顔も、キラキラしている。 私たちは、遊園地のゲートを抜けると、しばらく色んなものを見ながら歩いた。 空気を切るような悲鳴が聞こえる、ジェットコースター。 空をかき回す、空中ブランコ。 両手をあげて、ヒューなんてはしゃぐバイキングのお客さん。 みんなみんな、楽しそうで幸せそうだ。 私たちは、それらを歩いて抜けると、ゲーセンのコーナーに行き当たった。 昔からの、コインのスロットや、ユーフォーキャッチャーまで見受けられた。 「……ぺんぎん、ぺんぎんしゃん!」 誰かが私の鞄を引っ張った。 見れば、3歳くらいの、髪の毛をふたつに結わえた女の子だった。 私のアニエスベーの鞄からぶら下がってる、ぺんぎんのぬいぐるみキーホルダーに興味があるみたいだ。 ああ、そういえばまだ、そんなものつけてたっけ。 静哉と水族館に行った時に買ってもらったものだった。
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