218人が本棚に入れています
本棚に追加
セイゴさんが、ソフトクリームを私の口許へ持ってくる。
「夢のカップル食い、お先にどうぞ」
「セイゴさんが先でいいよ」
「いいよ、星羅ちゃん、どうぞ」
「じゃあ、いただきます」
私がソフトクリームを齧ろうと顎を下げたのと、セイゴさんがソフトを私が食べやすいように持ち上げたのと、ふたりの動作が重なった。
「あっ」
どちらからともなく、声を出した。
ぺちゃっ。
冷たいソフトが、私の鼻のあたまについてしまった。
「カップル食い、初体験は失敗だね」
そう言ってセイゴさんは指先で鼻のあたまを拭ってくれた。
そしてそのまま、ぺろりと舐めた。
「うん。星羅ちゃんの味がする」
「何よ~、それ。どんな味?」
「すっごく美味しい」
そう言って、ふたり、目を合わせる。
「仲いいね、俺ら」
「仲いいね。あはは」
傍から見たら、いちゃつきカップルだ。
まあ、実際そうなんだけど……。
最初のコメントを投稿しよう!