845人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「留維も何か言ったら?」
お父さんは黙って私のウエディングドレス姿を見つめるだけ。
「・・・キツくはないか?」
お父さんの口から出た言葉に拍子抜けした。
「サイズはピッタリかな?」
お父さんは頭のベールに触れて、形を整える。
「他に何か言うコトないの?お父さん」
お父さんが昔からテレ屋なコトは知っているけど、何か一言でも褒め言葉が欲しかった。
「別に何もない・・・」
「お父さん、私はお嫁に行くのよ」
私はお父さんを詰る。
「桐生社長はいい男だ。式の当日でもないのに・・・言う言葉なんてない」
「留維は留奈ちゃんが余りにも綺麗だから…テレてるのよ」
「そうなの?お父さん」
「余計なコトを言うな。千紘」
お父さんの顔がみるみる赤くなっていく。
お継母さんの言葉は図星だった。
「私も当日に言いたいコト言うね」
私は男性マネキンが着ているタキシードに触れる。私と同じ純白にタキシード。
捺さんはこれを着るのね・・・
最初のコメントを投稿しよう!