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岡本千朗は学校をさぽって街をさまよっていた。
学校へは行く気になれない。クラスの連中の冷たい石のような無視が恐ろしかった。
いや、本当に恐ろしいのはそんな彼らに怒りを抱き、潰してしまうかもしれないという思いだった。
(なんで? なんで俺が怖がらなきやいけないんだ。ほんとうに潰してしまえばいいあんな連中。そしたら誰も俺に逆らわなくなるさ)
だがそうすれば心底恐れられるだろう。漫画やアニメの悪役みたいに恐怖で支配するなんてことができるわけがない。
あいつらは知らないんだ。人から怖がられるってことがどんなに嫌なことか。
(俺はどうすればいいんだろう)
ゲームセンターで台の前に座り、千朗はぼんやりと画面を見つめていた。
画面の中では二次元のキャラクターが戦いあっている。手から放たれた光線で片方がふっとんだ。
(あいつ………)
思い出しだのは栗塚景斗だった。
初めて自分と同じような力を持った人間を見た。あいつは俺のことを仲間だと言った。
―――その力はそんなふうに使うもんじゃないだっし
あいつはそう言った。
あいつは自分の力をどんなふうに使っているというんだ。あんな力を持っているくせに普通の人間として暮らしているのか。
後をつけて彼の家に行った時のことを覚えている。
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