第20章

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 裕福そうな家、明るい照明。  のんきに犬なんか散歩させやかって。  あいつは俺と違って幸福なのか。あんな―――力を持っていて。  母親だって怯えている俺の力。  彼は何故学校にまで来たのだろう。  ―――間違っている、力はそんなふうに使うもんじゃない―――  警告? 忠告? まさか……心配して?  仲間だから? (仲間)  そうだ、あいつは俺を怖かっていなかった。俺の力にも対抗できる。俺はあいつを潰せない。  千朗は立ち上がった。  あいつに会いにゆこう。あいつなら俺の力をどうにかできるかもしれない。  会って、話を――― 「………岡本千朗くん?゜」  その時、背後から声がかかった。弾かれたように振り向くと、背広を手にした男が立っている。 「やあ」 「……刑事さん」  それは千朗を事情聴取し、その後花壇で話をした刑事だった。広い額に汗を浮かべて穏や かな顔で見下ろしている。  千朗は糸の切れた操り人形のように、椅子に腰を落とした。 「探したよ。今日はさぼりかい?」
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