第20章

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 千朗は目をそらしてゲームの賑やかな画面を見つめた。 (悲しい? 俺が? 安斉の死を?) 「君、ね。学校の事故の前日の夜、十四日の夜だけど、学校に行ったかい?」  刑事の言葉に千朗は凍りついた。 「夜中に、学校のそばで子供を見たっていう人がいるんだよ……」 「な、なにそれ。ア、アリバイ?」  笑おうとしたが声が震えた。落ち着け、あんなことふつうの人間にできるわけがない。だから俺にできるはずもない。 「一応ね、みんなに聞いているんだ」  刑事は声の調子を変えずに言った。 「俺が学校のそばにいたらなんなの……。俺が何をしたっていうの?」 「学校のそばに行ったのかい?」 「行ってないよ、その日は……ううん、いつも夜はコンビニに漫画立ち読みに行くもん」  ドクドクと心臓が脈打ち始めた。その音が聞こえやしないかと、千朗はシャツの襟を握りしめる。 「何時頃?」 「さあ……お、覚えてない」 「学校で、変な話がはやっててね」  刑事はまたハンカチで汗を拭いた。グレイで赤茶色の線がはいっているくたびれたハンカチだった。 「学校を潰したのも、安斉先生を潰したのも、生徒が一人でやったって」  千朗はその途端、バネ仕掛けのように立ち上がった。 「ば―――馬鹿馬鹿しい。そんなん、できるわけないじゃん!」 「その通りだよねえ」
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