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刑事は出口に向かう千朗の後についてきた。
「呪いだの祟りだの、そんなことを言う子もいてね……」
薄暗いゲームセンターから出ると初夏の日ざしが真上から降り注ぐ。一瞬、くらりと眩暈がした。
「あ、岡本くん。大丈夫か?」
よろけそうになった体を刑事が支えてくれた。顔を覗き込んで驚く。
「どうしたんだ。汗びっしょりだ」
「………」
頭は空白状態だ。ぼんやりと見返す千朗に刑事はハンカチを差し出した。
「ほら、汗拭きなさい」
千朗はハンカチを見つめた。
「刑事さん……」
え?」
言ってしまいたいような気もする。自分がやったのだと。人も学校も自分が潰した。ただ念じただけで。
念じただけで俺は人を殺す。殺せる。殺してしまう。
信じるか? 信じるわけない。
……信じるわけがない。
この人は刑事にしてはいい人そうだけど。おとうさんと同じ煙草を吸っているけど。
「刑事さん」
「なんだね?」
「呪いとか祟りとか……信じてるの?」
「まさか」
刑事は苦笑した。
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