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「そんな事件なら警察は出てこない。私は信じてないよ」
「俺、俺がやったって言ったら? 学校も安斉も俺がやったって言ったらどうする」
「なんだって?」
道路を走る車の音がやけにうるさかった。
「安斉が窓の外にいるの見た時、あいつにこづかれたこと思い出した。腹が立つたんだ。あいついやみなことばっかり言ってたって。だから、だから俺はあんなやつ潰れてしまえって……そうちょっと思っただけだったんだ。まさか本当にそうなるなんて思わなくて」
「なにを―――何を言っているんだ? 岡本くん」
「びっくりした、あっと言う間だった。人ってもろいんだ。学校の時はさすがに時間がかかった。じっと見てたら頭痛くなった。でも壊れ始めるとすぐだったよ」
刑事は驚愕の表情を浮かべ、千朗の肩を捕まえて揺すった。
「君が、君がやったって言うのか? 学校を? どうやって!」
「だから―――潰れろって。そう思ったんだ」
ガクガクと頭を動かして千朗は答えた。刑事が捕まえている肩が痛い。
「何を使った? 爆発物をどこかで手に入れたのか?」
「違う。俺はそう考えただけだ。潰れろ、潰れろってそう考えただけで」
「ふざけるんじゃないっ!」
刑事は大声で怒鳴った。心臓がぎゅっと縮んだような気がした。
「警察をからかうと―――-」
その時、ドカン! と大きな音がした。
刑事が音の方に首をねじると、車道に停まっていた車のルーフがへこんでいた。いや、へこみなどというものではない。車内が完全に潰れている。
「なに……」
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